岩井の本棚 「マンガけもの道」 第16回 |
「いれずみ雀鬼」北山茂樹の世界
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(図12)
ホホ
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(図13)
朝からチャイナドレス
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(図14)
缶詰ばっか、パチの景品臭い
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(図15)
朝食に茶碗蒸しと角煮?
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(図16)
でも焼き魚と漬物
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(図17)
もうこれは写植アートです
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(図20)
軟式ボール?キャベツ?
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(図21)
カタカナかよ
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(図23)
ノイローゼぽい表現
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(図25)
スカスカクライマックス
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(図27)
ボートピープルかよ
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(図1)
また背景単色
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(図2)
ローーーン
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(図3)
謎のズボン
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(図5)
覚醒してもやることはインチキ
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(図8)
熟女のくせに
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(図9)
意外にのっぺりした体
作者の北山茂樹は麻雀モノを手がけること多い方ですが、古いものが多くなかなかお目にかかりません。
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(図4)
藤巻潤ぽい顔立ち
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(図6)
イカサマVSイカサマ
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(図7)
TPOをわきまえない方たち
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(図10)
キーッ、何よ!
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(図11)
ババっぽい手
娯楽に徹して当時読み棄てだったものほど淘汰され、保存している人も少ない。
大多数には支持されないがため、復刻される可能性もゼロに近いので、常に原本の価値が最上位にきます。
そういった意味ではこのジャンルは原本でしか読めない(かえりみる人がいない)鉱脈だらけといえます。
・・・まあ掘ってみたらダイヤや金どころか石炭も出ず、石灰岩ばっか出るクズ鉱脈の可能性のほうが高いんですけどね!
「いれずみ雀鬼」。
北山茂樹のとてつもない傑作です。
ジャケからもなんつぅか気合? 気迫? みたいな? そんな雰囲気が伝わってきます(図1)。
バックが真っ赤、そこに妖艶な美女。
下にあるゴハンのシャモジの柄みたいなのは点棒でしょうか。
ストーリーは、記憶喪失になった男が失った過去を取り戻すため、自分探しに奔走する・・・ 自分の背中のタトゥーの謎は? と、アメリカの連続テレビで同じような話があってもおかしくないくらいの壮大な物語を予感させます。
で、ワクワクしながらページをめくると、早くもその期待感をスッ飛ばす心無いシーンが(図2)。
このカステラみたいなの麻雀牌? で麻雀牌が「ローーーーン」と云う。
北山茂樹さんは「ロン!」と云うよりもなぜか「ローーーーン」と伸ばすのですが、これたぶん他人に言われたら「なに自慢コイてんだこの野郎」などとちょっとムカつくかもしれませんね。
で主人公・竜也が「どんな人生を送ってきたのか知らずにいるなんてがまんできない!」(図3)とカッコよく決めてみたものの、 いざやることといったら雀荘へいくこと(図4)目的は壮大だが手段はセコいですね。
イカサマ麻雀をやる連中を懲らしめようと達也が麻雀をすると、ピンチに追い詰められた竜也が急に覚醒しロンして撃退!(図5) でも実はイカサマ技だった(図6)。
そう、竜也は昔の自分を思い出したとき、すごいイカサマ技を駆使する雀鬼だったのです! どうもスケール小っちゃい覚醒ですね。
それにしたってイカサマ雀士がよりつくと店のイメージが悪くなるからってシーンで、主人公がイカサマつかってたら解決になってないと思うのはぼくだけでしょうか?
その後悩む竜也に思いを寄せるヒロインと酒を飲むシーン、着物バリっと着こなしてるのにカクテル飲んでる(図7)。文壇バーかよ。
で「わたしもう大人のつもりよ・・・」と、雀荘に勤めるスレッカラシなのに小娘を気取ってみる(図8)。
このシーンの後、濡れ場になるのですが、やり終わった後、ヒロインに「ぼくには刺青があるんだ」(図9)と打ち明けるものの、 背中の刺青に気がつかないほど室内真っ暗にしてやってたんだろうか。
しかし初回から、なんも見えないほど真っ暗にしてやろうって言いだすのも、ある意味失礼千万というものです。
竜也はなれなれしいイカサマ師とコンビを組んで雀荘荒しをする羽目になるのですが、 それがためにヒロインの雀荘にあまりいかないでいると、このご立腹具合(図10・11)。特に(図11)の腕が筋張っていて、コワイですね。
しかし結局イカサマ麻雀をしている最中に、夢の中に良く出てきた中国女が登場し、竜也の危機を救う!(図12)。
中国の人は日本でもフツーにチャイナドレス着て歩いてるんですね。見たことないや。
あの女なんだったんだろう、と思う間もなく、もう翌日から押しかけ女房気取りで朝食を作りに来る(図13)。
このシーンが最高にチンプンカンプンです。まずよくみると買ってきたもの缶詰ばかり(図14)。
何作る気なんだよ! で、いざ作ったものはゆで卵に茶碗蒸し、漬物、味噌汁、焼き魚に角煮。あさっぱらから豪華だなー(図15・16)。
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(図18)
ヒステリー気味
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(図19)
麗蘭しおらしい
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(図22)
すごい直接的
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(図24)
チンケな話にガックリ
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(図26)
ああああ・・・
で、何で料理を作りに来るの? と聞いた所、イカサマ麻雀を覚えてもらうため。
料理とイカサマが取引で成立するっておかしいよ。竜也にはもちっと頭を使えとアドバイスしたいです。
中国女・麗蘭と竜也がイカサマ特訓し始めて数日。夢に麗蘭が出てきてうなされるんですが、ここで例の写植が登場(図17)。これすごい名シーンですよ!
見ているだけで虚脱感に襲われるし、長い間目を合せるとヤバい感じがする。お守りの中身にこのコマの紙切れが入っていてもぼくは驚きません。
で、うなされている所にヒロインが登場するんですが、ちょうど麗蘭とカチあってメラメラと嫉妬して(図18)食事権を主張(図19)。
でもノックせずに失礼、とか言ってるヒロイン、実は竜也が寝ているスキに部屋に忍んできてるんですよね、それはどっちが失礼なんだろう。
後このとき麗蘭が持っている紙袋、相変わらず缶詰ばかりですし、軟式野球のボールみたいなものも入っている(図20)。
竜也と麗蘭に別れの時がきた・・・麗蘭も竜也と同じ刺青を背負っていたのです・・・ そして竜也は謎の手がかりを追うために旅に出る・・・でも去り際のセリフが全部カタカナでなので情感ブチ壊し(図21)。
旅をしながら麻雀を打つ竜也。だがあまりの強さに、一回こっきりで店からは追い出される日々が続く(図22)。
そして流れ流れて地方の雀荘でまた、竜也の覚醒が! しかしトリップシーンを演出しようという意欲と実力が伴ってないのでなんか病的なコマになってしまってます(図23)。
最終章、ついに麗蘭と竜也の謎が明かされる! ヒロインの雀荘にちょっかい出してきた中国人グループをシメあげようと竜也はアジトに乗り込むが、 そこに待っていたのはあの中国女だった! 店の権利証を取り戻すために達也は戦う・・・・って、これまでの壮大な謎が、 チンケな雀荘の権利証なぞのために複線張られていたのかと思うと心底ガッカリします(図24)。
作者的には見せ場にしたかったこの3コマも、技量が追いついてないのでこのスカスカ具合(図25)。
いやー味がある。ありすぎます。
ありすぎるといっても過言じゃないでしょう(村西とおる三段活用)。
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(図28)
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(図29)
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(図30)
ついに竜也の過去が明らかになるのですが、これがひどく消化不良で納得いかないんです。
結論から言うと、記憶を無くす前の竜也は麗蘭を賭けマージャンで取られて、敵の中国人にイレズミ入れられた、と。
で、達也は女を取り返すために自分もこれだけ麗蘭のことスキなんだ!とイレズミを入れてみた、と。
で、二人で駆け落ちしようと船を出して逃げたものの遭難して、そんときに記憶失った、という話らしいんですが、ありえないだらけで仰天ですよ。
だいいち冒頭にあった以前は平凡なサラリーマンだった、という伏線が全然役立ってない。
だいたい平凡なサラリーマンは女賭けて麻雀なんかしないだろ。
あとこんな手こぎの船で逃亡(図27)、って、これは逃亡じゃなくて密入国だよ。
日本人の発想じゃないですよ。そんなサバイバルを生き残ってきたのに、最後やることはちんこい雀荘の権利書賭けての賭け麻雀、スケール小さいなー。
・・・と、何がなんだかわかんない勢いで「いれずみ雀鬼」を1冊丸まる紹介してみましたが、気になった点がひとつ。それは意味不明の特急電車です。
前回の「さすらい雀鬼」でも表紙に使われてたのに、本編に登場しなかった特急電車。
「いれずみ雀鬼」でもたくさん登場してるんですが、やっぱりほとんど本編に関係ないんですよね(図28・29・30)。
なのにメチャクチャ特急描かれてる。しかも明らかに他のコマより念入りに。
電車をこんなにきちんと描くくらいなら麗蘭のマネキンみたいな容姿を何とかすべきです。
余談ですが、ぼく麻雀のルール全然分からないんで「スーカンツ四暗刻大四喜字一食ツモ!!」とかいわれてもどんくらいすごいのか分からないんです。
それでとある日、本店の同僚の竹下さんに
「竹下さん麻雀できる? おれルールわかんないんだよね」
「ああ分かりますよ。大丈夫、ルールなんて分からなくても勝てますよ」
「いや、役とかわからないと勝てないでしょ?」
「いやだいじょぶです、あんなの勢いですよ」
「でもカンとかポンとかの用語もわかんないのに・・・」
「大丈夫です、なんか揃ったら勝ちです。要は攻めればいいんですよ!攻めれば勝ちです!!」
攻めれば勝ち。そういやそうです。 こん時の問答も攻められたのでぼく負けました。
どんな時でも、一発で要を得た答えができる人は常に勝ち組みだな、と考えさせられる一件でした。
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※この記事は2005年3月18日に掲載したものです。
(担当岩井)