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インタビュー2023.2.24

「陋屋探訪」掲載 西新渉先生特別インタビュー

西新渉 プロフィール

自営業とパート勤務の傍ら、
3年前から妻にあててラブレター(漫画)を描く。
次第に毎日漫画を描かずにはいられなくなり、
これまで4コマ1300本〜と短編作品制作。
全ては妻の笑顔のために。
詩と映画が好き。

未発表漫画1000本以上
妻だけに向けられた創造の軌跡

漫画(ラブレター)を描かれたきっかけについて教えてください。
(西新)妻が繊細で心配性だからです。それで何か気分転換にと三年前、描いたこともない漫画を描き、読んでもらったのがはじまりです。それから毎朝四コマを描くことが日課になりました。
主にどんなことを奥様は不安に抱えられているんですか。
(西新)死を連想させるニュースです。たまに飛行機が空を飛んでいるだけでもうろたえます。
ラブレターによる奥様とのコミュニケーションとその変化について教えてください。
(西新)面白くなければ手厳しい反応が返ってきます。まれに琴線に触れた時は空間が和らぎます。ただこちらが意図していないところにはまったりすることが多いです。近頃は漫画をRead Nowのも鬱陶しがりながら「せっかく三年近く描いてるんだからやめたらいかん」と言ってます。これまでSNSにあげても全く反応がなかったので、何度もやめようと思ったのですが、妻のツボだけを信じるともなく細々と描き続けています。
毎朝ということは普段ラブレターを見せる時間は決まっていたんですか。
(西新)夜更かし癖のある妻より大体私が先に起き、コーヒーを淹れてから裏紙に四本くらい描きます。それをもって寝起きの妻に読んでもらうということが続いた時期がありますね。今は気ままに、描いたものを半ば嫌がる妻に無理に読ませるといった風です。
愛についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
(西新)今、1歳になるベイビーがいるのですが、その子のオムツを替えながら、妻にお互いオムツを替えられる年になるまで一緒にいられたらいいねと話かけましたが、返事はなかったですね。
奥様の人柄と関係性について教えてください。
(西新)妻は裏表のない人間です。相手によって態度を変える人間をすごく嫌っていて、漫画についても媚びたり、打算が入ったりしていると、喧嘩になるぐらい反発します。普段から絵は達者になるなと言われております。繊細すぎて端ではわからないつらさや不安な面があってさぞ疲れるだろうなと思いつつ、そのまったく正反対が私自身で、たぶんそれで釣り合ったり補ったりしているところがあるんでしょうね。夫婦というより親子や友達関係に近い感じです。
奥様との出会いについて教えてください。
(西新)私が二十代の時に入った広告代理店で、彼女が先にデザイナーとして働いていました。それからお付き合いするようになって結婚して独立して、今は自営業として小さなデザイン事務所をやっています。私は使い走りです。
結婚の決め手はありますか。
(西新)私が入社した時分の印象は決して良くなかったと言ってます。「ぼーっとしていて、融通がきかなそう」とか。仕事仲間として二人でよく飲みに行く仲になって、それから徐々に彼女が警戒心を解いて、関係性ができていったという感じですね。
二人の印象的なエピソードはありますか。
(西新)クレームをいいにお客さんが来社した時、彼女を呼んで一緒に叱られたことですかね。「は?」て顔してましたけど。
漫画を普段描かれていて思ってることありますか。
(西新)四コマ漫画に関しては、人物や背景を描いているうちに勝手に話ができちゃうのでそれを読んで自分が驚くというか、それが楽しくて描き続けているところがあります。短編漫画のいくつかに関しては身勝手な使命感から描きました。穴を塞ぐでかい石を一人で動かそうとするような無謀な試みというか。
普段の生活や暮らしについてお伺いしてもよろしいでしょうか。
(西新)朝が早く5時に起きるのです。6時には出ないといけない。着替えなど諸々していたら5分か10分ぐらいしか自由な時間がなくて、その時間に四コマを1本描きます。それで仕事に行き、昼には帰ってくるのですが、それから子供の世話と自営の下働きです。その合間に漫画を描くという感じですね。
朝はパートをされてるんですね。
(西新)生活のためでもありますが、私の性格では個人事業主をしているとのぼせる(頭にのる)から誰かの下につかないといかんという妻の意見を聞き入れ、港湾労働者として働いています。
今後の展望はありますか。
(西新)私の漫画はたくさんの読者を獲得することはないと思うんですけど、ボヘミアのコンセプトにあるようなマイノリティの中のマイノリティ漫画、それなら世の中に順応できない自分の分野だと思っています。そうした世の中からはぐれた者達をモデルに、物語を描くつもりです。
西新渉先生本日はどうもありがとうございます!

奥様へのインタビュー

今回西新渉先生にラブレターの方を投稿させていただき、是非奥様の方にもインタビューさせていただきたいなと思ったのですがお時間よろしいでしょうか。
(奥様)はい。大丈夫です。
西新渉先生との出会いについてお伺いしてもよろしいでしょうか。
(奥様)職場で出会いました。一目見た瞬間、私の中でタイプじゃないから却下という判断をくだしました。でもタイプじゃないので緊張せず、この人となら一緒に暮らせるなと思っていました。
奥様の趣味を教えてください。
(奥様)ローカル番組を見ることです。ローカル番組はたいてい生放送ですから、流れている間は平和だという安心感があります。内容はスカスカですが、それがいいところです。
奥様の嫌いなものはありますか。
(奥様)嘘をついていることに気づいてない人の嘘。それと身内びいきです。
奥様が今一番したいことはありますか。
(奥様)一番したいことは買い物に行くことです。Youmeタウンにいって隅から隅まで視察したい。
何の買い物をしたいですか?
(奥様)ただ見るだけなんですけど。
ウィンドウショッピングってやつですね。
(奥様)はい。
奥様は「いま世界が滅びる」としたら何がしたいですか。
(奥様)世界が滅びるっていう言葉が怖いので考えたくないです。なぜそれを聞く…
奥様は旦那さんにどうなってほしいですか。
(奥様)いるべき所にいてほしいです。
奥様は西新渉先生の漫画についてどう思いますか。
(奥様)漫画については達者な絵が嫌いなんですけど、とにかく人が思っててもうやむやにして消してしまうことをあえて現したり、ひたすら孤独に続けているところは凄いなって思います。
奥様本日はありがとうございます!
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